早期戦力化を実現するオンボーディングとは?メリットと実施方法
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「オンボーディングとは何を意味するのか」
「実施する目的は何なのか」
「なぜオンボーディングが積極的に取り入れられるのか」
上記のように考えている担当者は多いでしょう。
オンボーディングは、新しい人材を早期に戦力化できる優れた教育手法です。
これを安定して実施できるようになれば、企業も本人も大きなメリットを得られます。
そこで本記事では以下について解説します。
オンボーディングについて知りたい担当者はぜひご参考ください。
オンボーディングとは?基本的な内容と実施するメリット
まずオンボーディングの正しい定義や注目される背景、目的について知っておきましょう。そのうえで自社にて運用する必要があるか判断してください。
オンボーディング=新入社員を早期戦力化・定着化を目指す研修
オンボーディングは新入社員を早期戦力化・定着化を目指す教育手法です。入社してすぐの社員は、周囲のサポートなしには業務を遂行できません。また立ち回りや業務の勘所もつかめない状態です。
さらには人間関係にもうまく馴染めず、早期退職するケースもあります。
そういった自体を避けるために、OJTやメンター制度、定期的な面談などで本人をフォローアップして早期戦力化・定着化を目指すのがオンボーディングです。
注目される背景
オンボーディングが注目されるのは離職率改善や生産性向上が必要になったからです。
人材不足が叫ばれる中で、少なくとも早期退職は避けたいところ。
終身雇用が主流でなくなり、転職やフリーランスとしての働き方が広がる中、オンボーディングによる早期定着化が必要とされるようになりました。
さらに生産性向上の必要性も出てきています。
働き方改革や次世代テクノロジーの台頭により、限られたリソースから大きな利益を作り出すことが求められています。
これを非効率な方法で新人教育を進めながら実施するのは簡単ではありません。そこで、戦力化が早期に実現でき、生産性を落とさずに済むオンボーディングが注目されています。
オンボーディングを実施する目的・目標
オンボーディングを実施する目的・目標として以下3つがあります。
- 成長速度の向上
- 新入社員の求心力の向上
- 教育格差の是正
最も重要なのは早期戦力化につながる成長速度の向上。オンボーディングがうまく回れば早めに第一線で活躍できる人材を確保できます。
求心力を高められるメリットもあります。適切なフォローアップやサポートがあれば信頼関係が築かれます。これはオンボーディングの定着化に当たる部分で、早期離職を避けることが可能です。
教育格差の是正が目的に掲げられることもあります。
トレーナーや部署ごとでの育成能力をオンボーディングで統一し、満足に教育できないケースを減らします。各部署が健全に運営され、全体でバランスよく会社を下支えするような状態を目指すのもひとつのゴールです。
オンボーディングを実施する5つのメリット
オンボーディングを実施するメリットとして以下5点があります。
- 成長速度をスピードアップできる
- 育成コストの削減
- 離職率の低下
- 人材育成意識の向上
- 従業員満足度の向上
少しハードルの高いオンボーディングですが、実施できた時のメリットは大きいものです。
成長速度をスピードアップできる
オンボーディングを実施すれば早期に業務や勘所を理解できます。さらには人間関係上の立ち回りを速やかに把握して部署に馴染むことが可能です。そうすることで通常よりも早く「一人前」になれるでしょう。
トレーニーである期間を短縮でき、育成コストを落とすことも可能です。またメンターや教育担当者のパフォーマンスへの影響も最小限にすることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
離職率の低下
オンボーディングの実施で離職率の低下を実現できます。特に重要なのは早期離職を避けられること。
せっかく育成した新人が、業務に慣れない、人間関係に馴染めないなどの理由で数ヶ月で離職するケースもあります。
オンボーディングでは速やかに業務に慣れさせる、あるいは精神的に孤立させないのが特徴です。これが働きやすい環境を形成に役立ち、離職率の低下につながります。
人材育成意識の向上
人材育成意識の向上も重要です。オンボーディングの実施で、人材の育成の重要性や利点が見えきます。
例えば面談を実施することで人材育成が捗ったり、問題点を把握したりすることが可能です。
そうすれば人材育成に対して高い意識を持ち適切な施策が導入できる機運が高まります。
オンボーディングの導入で自社の新人教育は劇的にブラッシュアップされるかもしれません。
従業員満足度の向上
従業員満足度を向上させられるのもメリットです。オンボーディングによって手厚いサポートや人間関係の充実があれば、より高い士気を保てます。
健全なコミュニケーションややりがいを見出すことで、従業員満足度を高めることが可能です。
これは離職率の低下や成長速度のスピードアップにもつながります。
オンボーディングを実施する方法
オンボーディングは、いくつかの教育施策の組み合わせによって成立します。どのような施策が取り入れられるかは企業・状況で異なりますが、基本的に以下3つは頻繁に利用されます。
- OJTトレーニング
- メンター/ブラザー・シスター制度
- 業務日報のタスク化
それぞれが真新しい手法ではありませんが、オンボーディングでどのような役割を果たすのか理解しておきましょう。
OJTトレーニング
OJTトレーニングを実施するのはオンボーディングの基本です。「On-the-Job-Training」の略称で、実際に働きながら業務に関する知識やノウハウを覚えさせます。
分かりやすく言えば「やって覚えさせる」手法です。
OJTトレーニングを実施する際には、経験のある先輩・上長が新入社員に付き添います。このようにしてオペレーションミスに備え、本人も部署にもリスクがないように業務を進めるのが基本です。
座学の時間を減らし、できるだけOJTトレーニングを進めるのがポイント。ただし無理をさせて、出来もしないことを一人でやらせないように注意しましょう。
メンター/ブラザー・シスター制度
オンボーディングではメンター制度が幅広く使われています。経験豊富な既存社員を教育担当者・サポート担当としてあてがうやり方です。
ブラザー・シスター制度もよく使われます。これはメンター制度と異なり、本人とさほど年齢の変わらない既存社員を兄・姉のような存在としてアサインするものです。
いずれの場合でもトレーニングの実施や会社への定着で有効です。ただしメンターやブラザー・シスターの人間性や本人との相性に左右される部分もあります。
効果が芳しくないときは担当者を変えるなどの工夫も必要となるでしょう。
業務日報のタスク化
業務日報のタスクも、オンボーディングで活用されます。
業務日報で業務上の学びや決意を述べることで、学習やモチベーションの向上を図る、ごく一般的な手法です。
ただし業務日報を提出させるだけでは物足りません。また教育対象者がいい加減に書いてしまう懸念もあります。OJTトレーニングやメンター制度などで業務への士気を高めた状態で、むしろ本人が積極的に業務日報で思考を整理するような形が理想です。
そのように書かれた業務日報であれば、教わったことを記憶として定着化しやすく、のちに見返してモチベーションを高めたりすることも可能です。
定期的な面談
メンター・上長などと定期的に面談することも重要です。本人が業務上で困っていることはないか、聞きたいことはないか話し合う機会を持ちましょう。
面談を実施するメリットは重大な事実の申告が得られやすいこと。普段は言えなくても密室かつマンツーマンの環境なら重要なことも話しやすくなるはず。
新入社員が抱える問題に気づき、すばやく対処すればさらなるトラブルや早期離職を防止することにつながるでしょう。
まとめ
本記事ではオンボーディングについて解説しました。重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- オンボーディング=新入社員を早期戦力化・定着化させる研修
- OJTなどで成長を早め、手厚いサポートで求心力を獲得
- オンボーディングがうまくいけば、離職率を低下させたり、育成コストがおさえられたりする
- 人材育成意識や従業員満足度の向上につながる部分も
- オンボーディングは、さまざまな教育施策の集合体
- OJTや日報、定期的な面談などを用いて進める
近年は企業側にも相当に効率的な経営・業務が求められています。そのうえで育成コストがかからず、早い段階で戦力を得られ、さらに離職リスクまで下げられるオンボーディングは重要な手段です。
もちろんオンボーディングを実施するのは簡単ではなく、緻密な計算や教育能力が求められます。しかし適切な手法でオンボーディングが実現できれば、企業と新入社員双方に大きなメリットが生まれます。
この記事を書いた人
小松
小松