額賀澪さん著『転職の魔王様』自分の幸せのために仕事するということ


突然ですが、皆さんは何のために働いていますか?

「お金のため」

「やりがいのため」

「誰かに認めてもらうため」

様々な理由が頭に浮かぶと思います。

人の数だけ答えがあり「この答えが正しい」「あの答えは正しくない」ということはありません。

ただ働くことがどういう形であろうと『自分の幸せ』につながっていたら、素敵だと思いませんか?

けれど、働いている人の中には仕事をすることを苦痛に感じている方も少なくありません。

出社することが辛かったり怖かったりして、最終的には心身に支障が出てくる人もいます。

どうしたら、仕事することが自分の幸せにつながるような職業につけるのか。

今回ご紹介する額賀 澪さん原作のドラマ『転職の魔王様』は、人生と自分の幸せについて改めて向き合うことができる1冊です。

こんな人におすすめ

・自分の人生をどのように描いていけばいいか分からない人

・退職したいと思いながら働き続けている人

・転職が悪いこと、生きる上で不利だと思っている人

・今の仕事に疑問を持っている人

見どころポイントについてまとめていますので、転職をするか迷っている人は「自分は本当に転職をしたいのか」「自分の幸せとは何か」を考える材料の1つとしてもらえたら幸いです。

転職の魔王様の簡単なストーリー紹介

広告代理店の激務とパワーハラスメントによって体調を崩し、退職を余儀なくされた未谷千晴(以下、千晴)は、叔母が経営する転職エージェント「シェパード・キャリア」に登録しました。

そして登録した転職エージェントの担当である「魔王様」こと来栖嵐(以下、来栖)と出会います。

生真面目で周囲の期待に応えたいという気持ちの強い千晴。

悪条件であろうと新しい職に就こうとする千晴に来栖は突き刺さるようなキツイ言葉を言い放ちます。

千晴は大きな衝撃を受けますが、それでも「仕事をしたい」という思いは強く彼女の心を占めており、社会復帰の一歩目として来栖の元で1年間見習いのキャリアアドバイザーとして働くことになります。

見習いのキャリアアドバイザーとして、4人の求職者の転職活動という人生における転機に立ち会い、自分自身の人生や仕事についても考えるように…という物語です。

見どころ1:「私もそんな風に考えてた!」千晴と求職者たちの悩みに共感できる

『転職の魔王様』の見どころ1つ目。

それは作品に登場する求職者の悩みに、読者や視聴者が共感できることです。

共感できることが多ければ多いほど、没入感が増し作品を楽しむことができます。

では、どういうところに共感ができるのか。

例えば、自分が転職活動をしようと思った時、もしくは転職しようとしている人からこんな言葉を言ったり、聞いたりしたことはありませんか?

「周りの人が転職活動を始めているから」

「今の会社で3年は働いたから」

「自分を正当に認めてくれる会社に勤めたくて」

転職する際に、スキルアップのためなどポジティブな気持ちで行動する人もいるでしょう。

けれど、現状に対する漠然とした不安を感じていたり、職場や人間関係に不満があったりとネガティブな理由から活動を始める人も少なくないはず。

年齢や性別、存在価値、不条理な社会…。

様々な要因から悩みを抱えていても、現実の世界では不安でいっぱいの心の内を素直に口にすることができない場合もあります。

登場する求職者達は、現実世界では口にできない不安を代弁するかのような存在です。

共感できる部分が多いからこそ、自分と重ね合わせて抱えている課題や問題に『転職の魔王様』を通して向き合うことができるでしょう。

だからこそ自分の心、そして仕事というものと不器用ながら向き合い前進していく千晴を含めた求職者たちの姿に励まされる人も多いと思っています。

見どころ2:仕事と自分自身と向き合う時間となる

『転職の魔王様』の見どころ2つ目。

作品を見ることで自然と感情が揺さぶられ、仕事や自分自身の心と対話する時間を持てることです。

見どころ1でもお話ししましたが、作中に登場する求職者はそれぞれに悩みを抱え、心や体をすり減らしています。

読者の皆さんも「仕事に関する悩みが全くない」という方は少ないのではないでしょうか。

どれだけ好きな仕事をしていても、人間関係や勤務体制などで悩むこともあると思います。

仕事する時間は、人生の大部分を占めます。

悩みがあると、働くこと自体にマイナスな感情を抱いてしまうことも少なからずあるのではないでしょうか。

「あの人とは合わない」

「仕事がつまらない」

「理由なくイライラしてしまう」

ふと、こんなことを考えることもあるでしょう。

けれどマイナスな感情を持ってしまう自分を否定しないであげてください。

自分からのSOSに耳を傾けて、ネガティブ言葉に隠された自分の本心と向き合ってみましょう。

どうして良いか分からない方は『転職の魔王様』を見て、どんな風に心が揺さぶられたのかを書き出してみるのも良いかもしれません。

「自分もやりがいのある仕事をしてみたい」

「けれど、登場人物と比べて年齢が上で転職が不安だ」

「転職回数が増え企業からの評価が下がってしまうのが怖い」

「それでもチャレンジをしてみたい」

期待と不安が絡みあって、本心にたどり着けないこともあるでしょう。

そんな時は、紙に書き出して心の中を整理してみることをおすすめします。

心の中で自分と対話していても、見えてこない本心もあります。

また、今は問題がなくてもライフイベントを迎えたりすれば、仕事を変える必要がでてくる場合もあるでしょう。

そのため自分の感情だけでなく、長期的な目線でどういう人生を送りたいのかということについても考える良いきっかけとなると思います。

見どころ3:心に響くメッセージが多数ある

『転職の魔王様』の見どころ3つ目。

それは作中内に散りばめられた、心揺さぶられるメッセージにもあると思います。

具体的な例をいくつか挙げてみましょう。

1.「みんな、正解がほしいんですよ。人生には選択肢がたくさんあって、どれを選んだらいいかわからないから。一度失敗したらおしまいだって気がするから。誰かに正解を教えてほしいんです。」

誰も絶対となる正解を持たない転職活動。

だからこそ悩み、正解探しをしてしまうのではないでしょうか。

誰でもいい。答えを教えて欲しいと思う瞬間もあるでしょう。

作中に出てきた、この言葉がまさにこの迷える求職者の心情を表しているように思いました。

答えがないから迷い、途方に暮れ、焦って転職先を決めてしまう人もいるでしょう。

けれど、残念ながら本当の意味で答えを持っているのは自分自身だけです。

もっと言えば、自分が出した答えを自分自身で正解にしていくしかありません。

「自分で自分の選択を正解にしていく」

その事実に気づくことが、幸せな転職の第一歩なのではないでしょうか。

『転職の魔王様』を通して、自分で自分の人生を正解にしていくんだという気持ちを少しでも持つことができたら、それだけ人生は豊かになり始めていると思います。

2.貴方の人生の前ではどうだっていいものなんですよ

求職期間が長引くことに罪悪感や劣等感を抱く人もいるかもしれません。

それぞれ事情があるので「罪悪感や劣等感を抱くな」とは言えません。

それにどうしても自分を責めてしまうこともあるでしょう。

しかし、どういう場面であろうと【あなた自身】以上に大切なものはないと思います。

挙げた来栖の言葉に、まさにそうだと共感するものがありました。

少し乱暴な表現ではありますが、転職をサポートする人間として求職者のことを真剣に考えていることが伝わります。

あなたの人生より大事なものとは何でしょうか?

確かにそれは大切で重要なものかもしれません。

けれど本当にそれは【あなた】以上に大事なものなのでしょうか。

頑張っている自分を認め、しっかりと自分の希望がより多く叶う職場を見つけること。

それが転職活動において最も重要なことだと思います。

転職はストレスが多くのしかかります。

せめてそんな時だけは、自分のことを中心に考えたっていいじゃありませんか。

そんなことを思わせてくれる来栖に励まされた人も多くいることでしょう。

まとめ


今回は『転職の魔王様』の見どころに触れながら、自分を幸せにするための転職活動についてお話させていただきました。

仕事は、人生の中で大部分を占めます。

だからこそ「失敗したらどうしよう」「今のままでいいんじゃないか」と転職に不安を感じるのだと思います。

そして、いざ転職活動を開始しても、不安に押しつぶされて冷静な目で自分の心や仕事を見ることが出来なくなる。

転職への不安で目を閉ざしそうになっている方にこそ、『転職の魔王様』を手に取り、自分を幸せにするための転職を成功させてほしいと思います。

『転職の魔王様』は求職中の方、転職エージェントをしている方はもちろん、

そうでない方も楽しめる作品となっています。

短編集ですので、読書が苦手な方でも比較的読みやすいので、興味があればぜひ一度手に取ってみてくださいね。


SHARE ON

この記事を書いた人

青木真子

青木真子