新卒採用における重要指標「歩留まり率」とは?
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「歩留まり」とは何を意味するのだろうか?
どの程度であれば平均的な数字なのか?
どうやって計算するのか
改善するにはどのような対策が必要か
上記のように考えている担当者は多いでしょう。マーケティングやデータ活用が全盛を迎える昨今において、新卒採用活動を数字で考えて管理することは重要です。
中でも重要視されるのは「歩留まり」とその比率。これを意識すれば、一言で言えば優秀な人材を確保しやすくなります。そこで本記事では新卒採用における歩留まりについて解説します。
新卒採用における歩留まりとは?
前提として歩留まりとは採用活動を通して「ある選考段階をクリアした後、次のステップに進んだ選考参加者数」を示します。
例えばエントリーシートチェックを100人が通過し、うち70人が一次選考に参加したとしましょう。この場合だと70人が歩留まりしていることになります。
要するに「選考を辞退せず、まだ採用フロー中に残っている人の割合」です。
歩留まり率の定義と計算式
ここで重要なのが「どの程度歩留まりしているのか」を示す歩留まり率。
多くの企業はこの数値を参考に、選考の問題点を見つけたり優秀な人材が確保できたりするような手法について考案しています。
歩留まり率には、採用フローにしたがっていくつかの種類があり、以下のように計算することが可能です。
各段階において、歩留まり率の種別も示唆する意味合いも異なります。各歩留まり率が何を示し、そこからどのような改善策が見えてくるのかよく考えるようにしましょう。
平均歩留まり率は53.8%
リクルートが毎年報告している「就職白書2019」によれば、平均的な歩留まり率は53.8%。つまり2人に1人強が次の選考へ参加している、あるいは内定を受諾していると考えて問題ありません。
つまり自社の歩留まり率が53.8%から著しく乖離している場合は選考フローに何か問題あると考えられます。
例えば40%しか歩留まりしないなら、企業の魅力をアピールできていない、あるいは選考基準がシビアすぎるのかもしれません。
一方で歩留まり率が高過ぎれば、人気は確保できているものの落とすべき人物を落とせていない可能性があります。
歩留まり率は50%強が一般的な数字だと考え、乖離があれば改善策を考案しましょう。
参考:「就職白書2019 ~冊子版 PDF~」(就職みらい研究所)https://shushokumirai.recruit.co.jp/white_paper_article/20190507002/
歩留まりが注目される理由はよい人材を確保するため
歩留まりが注目される理由は、よりよい人材を確保するためです。
先ほども触れたとおり歩留まり率が低い場合は自社の魅力が伝わっておらず離脱されている可能性を示します。
例えば一次選考と二次選考の間での歩留まり率が極端に低ければ、ここで何らかの問題が起こっているわけです。
これを解消すれば候補者の離脱を避けられます。つまり優れた人材を確保することにつながると考えられます。
新卒採用における歩留まり率の低下が起こる要因
新卒採用において歩留まり率が低下するなら以下の問題が考えられるでしょう。
✔採用市場が売り手優勢になっている
✔採用フローの時点ですでに求人内容とギャップが感じられる
✔入社ブロックが働いている
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
採用市場が売り手優勢になっている
採用市場が売り手優勢だと歩留まりは低下しやすくなります。
要するに売り手市場では、就活生が志望する企業に対して内定を獲得できるケースが多いわけです。
そうなると「もう選考に参加する必要がない」と判断されて離脱されやすくなります。
企業は売り手優勢な状況下でも「この会社に入りたい」と思ってもらえるように動くことが重要だといえるでしょう。
採用フローの時点ですでに求人内容とギャップが感じられる
採用フローの段階で求人内容とギャップがあると、離脱されやすくなります。つまり「言っていることが矛盾している」と判断されるわけです。例えば以下のケースが挙げられるでしょう。
・企業説明会でのアナウンスと選考における質疑応答時の返答内容が異なる
・フレンドリーな社風と聞いていたが、面接で圧迫感があった
上記のことがあれば、信用を勝ち取れず採用フローから離脱されやすくなるでしょう。
入社ブロックがはたらいている
新卒採用の歩留まり率を下げる要因として、入社ブロックの存在も挙げられます。
これは誰かから「その企業に入るべきではない」と横槍が入ることを指す言葉です。驚かれるかもしれませんが、親が「そんな小さな企業では将来が心配」と忠告する、なんてケースもあります。
入社ブロックが生じる原因は、基本的に会社としてのブランドが足りていないことです。この現象を避けるためには、大手にはない自社の魅力をアピールするなどの工夫が必要となるでしょう。
新卒採用の歩留まり率を向上させる方法
新卒採用の歩留まり率を向上させるには以下の方法が考えられます。
- 選考期間を短縮する
- 小規模でも構わないので採用ブランディングを実施する
- 親睦会などで帰属意識を高める
- スピーディーに連絡を取る
いずれも企業にとって重要なポイントです。
選考期間を短縮する
新卒採用の歩留まり率が好ましくない場合、状況を改善するには選考期間を短縮するのが有効です。
エントリーから内定までにかかる日数が間延びしていると辞退される可能性も高くなります。
できるだけタイトなスケジュールで選考を進めましょう。
また選考フローを短縮するのも有効。面接の回数を減らしたり、オンライン面接にしてスピーディーに進めたりして、離脱を避けるように動くことが大切です。
小規模でも構わないので採用ブランディングを実施する
採用ブランディングによっても歩留まり率の向上を図ることが可能です。これは「この企業に入りたい」と新卒者に思わせる施策の総称です。
といっても採用ブランディングは難易度が高いやり方。年間単位で計画を立てたり、自社の評価を市場調査したり、効果測定の仕組みが必要だったり数多くのステップをクリアしなければいけません。本格的に進行させるとなると壮大なプロジェクトになり、外注まで必要となることもあります。
そのためおすすめなのはSNSで企業の魅力を発信、あるいは採用ページでブランド感をアピールすることです。この範疇であれば、それほどリソースやコストはかかりません。
親睦会などで帰属意識を高める
新卒採用の歩留まり率を改善するには帰属意識を高めるのもよいでしょう。「この会社はよさそうだな」と思わせれば、内定辞退の確率を下げることができます。。
そのため内定者には親睦会などの機会を設け、早い段階で関係を築きましょう。
もちろん選考フロー中にそういったイベントを設けてもかまいません。これは採用ブランディングの効果もあるので、うまく活用したいところです。
スピーディーに連絡を取る
歩留まり率の悪化を防ぐには、とにかくスピーディーに連絡を取ることが重要です。お礼や次回選考などの連絡については、後回しすることなく伝えましょう。
速やかに選考フローを進め、他社よりも早く合否通知や内定を出すのが理想的です。そうすれば他社に優秀な人材を横取りされずに済みます。
ただし早ければよい、というわけではありません。優先されるのは人材としての評価を適切に下すこと。
選考本来の意味を忘れて歩留まり率に惑わされないように注意しましょう。
まとめ
本記事では新卒採用における「歩留まり」とその比率について解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 新卒採用における歩留まりとは「次の選考に参加した人の比率」
- 歩留まりの平均は50%と少し、ここから乖離するなら何らかかの問題がある
- 歩留まりが注目されているのは、改善することで優秀な人材を確保しやすくなるから
- 自社の魅力をアピールしつつ採用活動を有利に進められているかは、歩留まり率である程度判断できる
- 新卒採用の歩留まり率を高めるには、選考期間を短くしたり、親睦会を開いたりさまざまな手法が考えられる
近年では「就職せずフリーランスとしてやっていく」という新卒者が増えている他、古くから存在する大手信仰も未だ健在です。
そのような状況下において無策では、歩留まり率が低下します。つまり優秀な人材を確保しにくいということです。
ここは歩留まり率を適切な水準で管理し、より理想的な人材が確保できるように努めましょう。
この記事を書いた人
小松
小松