企業における属人化とは?デメリットや対策について解説

  • 「属人化」とは、どのような状況を指すのか?
  • 仮に属人化したとして、どんな問題があるのだろうか?
  • 欠点を補うには、解消するにはどうすればよいのか?

上記のように考えている人は多いのではないでしょうか。

結論から言えば属人化は企業にとってリスクが大きい状態です。問題が表面化した際には部署や会社の運営を根底から揺るがす事態になるかもしれません。

そこで本記事では以下を解説します。

属人化の定義と対策とデメリット

仮に属人化が起こった場合のデメリット

属人化が起こりやすい状況と対策

本記事を読めば属人化の危険性を理解し、正しく対処することが可能です。

目次
  • そもそも属人化とは?考えられるデメリット
    属人化が起こった場合に考えられるデメリット
    属人化が起こってはいけない業務
  • 企業において属人化が起こりやすい状況
  • 属人化を防ぐために考えられる対策
  • まとめ:属人化が起こる前、起こったあとの対策が大切

そもそも属人化とは?考えられるデメリット

まず属人化が何を意味するのか正しい定義を理解しましょう。そのあとで企業に対する重大なデメリットについて解説します。

属人化=ある作業や役割が特定の人物にしかできない状態

属人化とは、ある作業や役割が決まった人にしかできない状況を意味します。

例えば「会計ツールの使い方が特定の経理スタッフ1人にしかわからない」といった状態です。

ほとんどの企業や部署において起こりうる現象で、珍しいことではありません。

属人化が起こった場合に考えられるデメリット

属人化が生じたときに考えられるデメリットは「本人が離脱した場合のリスクが大きすぎる」あるいは「従業員間の不平等が生まれる」の2点が大きいでしょう。

本人が離脱した場合、残された人員ではその作業を代行できなかったり、正しい手順がわからなかったりします。

休暇なら電話をつないで問い合わせれば何とかなるでしょう。しかし引き継ぎもなく退職する場合、業務を遂行できない状態に陥るかもしれません。

従業員間での不平等感についても注意が必要です。ある特定の人物しか業務を担当できない場合、1人だけ業務量が増える可能性があります。

そうすると本人は不満を抱くようになるでしょう。またその業務を与えられないことに不公平を感じる社員が出てくるかもしれません。

他にも、

・担当者が権威性を持って、社内の人間関係に悪影響が生じる
・ミスが隠蔽されやすくなる
・チェックが入らないので業務品質が低下する

といった問題が考えられます。

属人化が問題として表面化した場合は、多様で重大なデメリットがあることを理解しておきましょう。

属人化が起こってはいけない業務

以下の業務では属人化した場合のリスクは非常に大きく、未然に防ぐ必要があります。

  • ルート営業
  • 説明業務
  • インシデント対応

ルート営業が属人化した場合、契約の継続動機が担当者であることが多いです。つまり本人が退職・異動した際に、大口の顧客を喪失するかもしれません。

説明業務が属人化すると、本人不在時に顧客に適切な案内ができなくなります。そうなると平時とは異なる対応が生じて顧客からの信頼を失うかもしれません。

インシデント対応が属人化すると、本人不在時に初期対応が遅れたり問題が大きくなりがちです。また代理した人間が誤った対応で状況を悪化させるかもしれません。

このように上記の業務が属人化した場合、リスクが大きくなりやすいので必ず未然に防止する必要があります。

企業において属人化が起こりやすい状況

企業において属人化が起こりやすい状況として以下が挙げられます。

✔ 業務そのものの専門性が高い

✔ 本人が社内でのポジションを守りたい

✔ 会社自体が忙しく、業務標準化ができない

属人化が起こる最大の要因は専門性が高い業務であること。特別な技能や知識が求められるタスクを担当できる人材はそうそう見つけられません。そのため、つい担当者に頼りきりとなって属人化が起こるわけです。

会社にそのつもりがなくても、本人が社内でのポジションを守りたいがために属人化することもあります。要するに自社での価値を落とさないよう、本人なりに対策しているわけです。

また会社自体が忙しいとマニュアルやフローチャートを作成する時間がなく、教育や周知が後回しになった結果として属人化が起こりやすくなるのです。

属人化を防ぐために考えられる対策

属人化を防ぐための対策は大きく分けて3つ考えられます。

  • 全社員が理解できるマニュアルやフローチャートを作成する
  • 業務内容を最適化する
  • ナレッジが共有され、継承されることを推奨する

他にも企業や部署ごとで異なるやり方がありますが、上記3点はほとんどのケースにおいて必要です。

それぞれについて詳しく解説するので参考にしてください。

全社員が理解できるマニュアルやフローチャートを作成する

属人化を防ぐには、まず全員が理解できるマニュアルやフローチャートを作成しましょう。それを確認すれば誰しもが同一の速度で、同様の品質が担保できるように準備するわけです。

そうすれば担当者が不在でもマニュアルやフローチャートがあれば、業務は実施可能となります。担当者や第三者の意見を踏まえつつ作成し、誰でも理解しやすく解説しましょう。

難しい場合は全員でなくても構いません。ひとまず1人ではなく複数人が理解できれば一旦は深刻な属人化を回避できます。

業務内容を最適化する

業務内容を最適化することも大切です。

なぜなら属人化はある程度複雑なプロセスでのみ起こる現象だから。つまり誰が見ても業務内容が理解できる状態であれば属人化はほとんど起こらなくなります。

まずは業務内容を観察し、何が誰の手によって処理されているのかを把握しましょう。そしてそれが最適な手順で進められているかを確認します。

把握を進める中で属人化している、あるいはしていそうな場面では業務の最適化を図りましょう。こうすることで属人化が防止され、同時に作業効率を高めることにつながるのです。

ナレッジが共有され、継承されることを推奨する

社内でのポジションを確保するために、業務担当者が意図的に属人化を起こすことがあります。それを防ぐためには、ナレッジの共有や継承が推奨されるような状況を作る必要があるでしょう。そうすることで、意図的な属人化をある程度防止することが可能です。

具体的な手段は、ナレッジの共有や継承に明確なリターンを用意すること。これなら社員は作業を独り占めするよりも、周囲へ共有するようになるでしょう。

ただし本人に悪意がなくても重要なナレッジが共有されず見過ごされるケースも多々あります。この場合はナレッジマネジメントツールなどを活用し、得られた情報を簡単に共有できるようにしましょう。

ツールがあれば容易に情報を入力することが可能です。また他の社員もただちにナレッジを閲覧し、業務として遂行できます。

共有、継承される仕組みを作って属人化とは真逆の状態(業務標準化※1)を目指しましょう。

※1誰が、どのタイミングでも同じような業務手順が実施される状態を保つこと

まとめ:属人化が起こる前、起こったあとの対策が大切

本記事では属人化の定義やデメリット、そして対策について解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • 属人化とは、ある作業や役割が特定の人物にしか実施できない状態を意味する
  • デメリットとして「本人が離脱した場合のリスクが大きい点」が挙げられる
  • 従業員間の不平等感も懸念される
  • 特にルート営業や説明業務、インシデント対応では属人化のリスクは大きい
  • 属人化は業務そのものの専門性が高いと起こりやすい
  • 本人が社内での地位を守るため、意図的に属人化する場合もある
  • 属人化を防ぐためには、全社員が理解できるマニュアルやフローチャートを作成するのが有効
  • 業務内容の最適化や、ナレッジ共有・継承が活発に行われるための方法もある

属人化はすべての企業において起こり得る現象。そもそも発生する前に予防する、あるいは起こってしまった場合は適切に対応することが重要です。

放っておくと担当者が離脱した際に大きな被害を受けるかもしれません。そうなる前に適切に対処しましょう。

参考URL:
DX hacker|属人化により生じる4つのリスクと脱属人化する3つの方法、防止策をご提案 https://dx.biztex.co.jp/it-column/personalization/

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小松

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