エンジニア採用・育成の極意〜長期的に活躍してもらうために必要なこと〜

ここまで理系大学生を獲得するための方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

中小企業が大手に抜きん出るためには、それだけ工夫や手数が必要となります。その分、見返りとして良い人材を確保することができれば会社にも大きく寄与することができます。

もし自社で理系大学生の採用に苦戦している、もしくはこれからはじめようとしているのであれば、ぜひ今すぐに出来ることからはじめていきましょう!

「良いエンジニア」が備えている2つの能力とは?

「良いエンジニア」と一口に言っても、幅が広くどんな人材なのかイメージがつきにくいですよね。

例えば

  • いくつもの言語を操ることのできるエンジニア
  • 1つの言語を極めているエンジニア
  • フロントエンドもバックエンドもこなせるエンジニア
  • 独自の視点を持っているエンジニア
  • 機能の追加提案を含めたディレクションを行えるエンジニア
  • 新しいデザイン技法を編み出せるエンジニア

など、様々な意見があるようです。

※フロントエンドはアプリのユーザーの目に触れる部分、バックエンドとは利用者の目に触れづらいシステムの部分を指します。

なぜ、こんなにも意見が分かれるのか。

それは各社の状況や課題によって採用したいエンジニア像も変わるからです。

しかし本質的には次の要素を持ったエンジニアが最も大きな利益を会社にもたらしてくれます。

それは「ポテンシャルがあり、常に知識やスキルをアップデートしているエンジニア」です。

それには2つの理由があります。

まず1つ目の理由は吸収するポテンシャルさえあれば、スキルは後から付けることができるからです。

どんなに優秀なエンジニアも最初は初心者です。

そして、多くの経験や学びを経てスキルを獲得し、優れたエンジニアへと成長していきます。

2つ目の理由はエンジニアの世界は技術の流行り廃りや情報のアップデートが極めて激しいからです。

プログラミングの世界は日進月歩です。

「数ヶ月前の仕様では正しかったコードが今では間違いとなっている」

「去年トレンドとして使われていた技術が今ではほとんど使われていない」

こういったことが往往にして起こります。

2010年代に入るまで、フロントエンドは「JavaScript」という言語が主流でした。

しかし「TypeScript」にトレンドが移りつつあり、新たなライブラリやフレームワークが続々と登場しています。

こういった情報にアンテナを張り、いち早くキャッチアップできるエンジニアが需要を満たし、大きな利益をもたらしてくれます。

上記の理由から本記事では「ポテンシャルがあり、常に知識とスキルをアップデートしているエンジニア」を「良いエンジニア」と定義し、いかに採用し、育成していくのが良いのかをお話していきます。

エンジニアの採用と育成はセットで考える

長期的にエンジニアに活躍してもらいたいと考えた時、採用と育成はセットで考えるのが得策です。

ポテンシャルの高い人材を採用すること、育成環境を整えることは両方とも必要条件です。

例えば現時点でポテンシャルが高いエンジニアやスキルが高いエンジニアを採用することができたとして、育成環境がしっかりとしていないと離職されてしまいます。

トータルで見れば時間的・金銭的なリソースを損なうことになってしまうのです。

採用は「インターン形式、ポテンシャル採用」がおすすめ

採用において長い目で見た時、新卒採用や中途採用に関わらずポテンシャル採用をすることがおすすめです。

巷では「エンジニアの志望者が足りない」と言われていますが実はそんなことはありません。

近年のプログラミングスクールの増加からも分かるように、未経験や経験が浅いエンジニア志望者は多く存在しています。

ではそういった多くの志望者からポテンシャルとアップデート力に優れた「金のタマゴ」を見つけるにはどうすれば良いのでしょうか。

それは「インターン形式」で志望者を見極めることです。

多くの企業が採用している「面接形式」は選考の1つとして行う分には良いのですが、それだけでは志望者のポテンシャルを見極めるのは難しいです。

それは

「面接形式はフォーマルになりがちであり、志望者の本音を引き出すのが難しい」

「短時間では、1つの側面しか見ることができない」

という2つの弱点があるからです。

また、面接に際して採用する側が心がけておくべきこともあります。

それは「志望者と企業はフラットな関係である」ということです。

「制度や福利厚生について質問してきた志望者、給与交渉をしてきた志望者は落とす」

このような考えではいつまでも離職率が改善されることはありません。

インターン形式であれば面接形式での2つの弱点をカバーし、長い時間を使ってじっくりと志望者を見極めることができます。

その中でプログラミング言語に対する適性や、キャッチアップ力がどれほどあるかを判断していくのが良いでしょう。

また、インターン形式での更なるメリットは「しっかりと時間をかけて自社の良さをアピールすることができる」点にあります。

この時点で志望者志望者が自社のファンになれば、高いモチベーションを持ってもらうことができ、採用のみならず、その後の育成や仕事のパフォーマンスでも高い成果を期待することが可能です。

※経団連企業の新卒採用では、2025年度採用まで「採用直結型インターン」はよくないものとされています。

その場合、解禁されるまでインターンはあくまで「応募者へのアピールの場」と考え、後々応募してもらうことを目指すと良いでしょう。

エンジニアの育成には「環境づくり」が何よりも大切

前述の通り、どんなに素晴らしいエンジニアを採用できたとしても、彼らが活躍しやすい土壌がなければ、パフォーマンスの低下や離職につながります。

逆に、育成環境さえ整っていれば、ポテンシャルとアップデート力に優れたエンジニアは自ずからスクスクと育っていきます。

では、具体的にどういった環境をつくっていけば良いのでしょうか。

環境づくりにおいて大事な4つのポイントをご紹介していきます。

1つ目のポイントは「しっかりとした給与と休暇を用意すること」です。

これはエンジニアに限らず全ての職種で言えることでもあります。

この点をおろそかにし、他の手段(形だけのキャリア面談やコストのかからない福利厚生など)を付け焼き刃的に講じたところで効果は薄いものとなってしまうでしょう。

みなし残業制などで見せかけだけの給料を上げても社員のモチベーションはみるみる下がってしまいます。

人的資源こそが最も大事な経営リソースであるということを再認識しましょう。

2つ目のポイントは「きちんとスキルが上がるような業務を割り振ること」です。

よく散見される例として、「エンジニア採用」と銘打っておきながら、開発などとは関係のない業務を割り振っている企業があります。

こういった環境に置かれたエンジニアは「何の為に日頃の勉強を頑張っているのだろう」、もしくは「このままスキルが上がらず、いたずらに年齢だけ重ねていくのだろうか」という思いを抱きます。

「鉄は熱いうちに打て」という言葉がありますが、やる気になっている社員に適切なフィールドを用意しないことは大きな機会損失となります。

3つ目のポイントは「制度を整えること」です。

価値観の多様化とともに、人々のライフスタイルも千差万別となりました。

柔軟な働き方に対応した制度を整えることで、各個人のモチベーションや定着率は大きく向上します。

制度づくりのお手本としていただきたいのが「サイボウズ株式会社」です。

「複業・複業は承認なしで可能」

「フルリモートワーク」

「出社日数を自由に選択できる」

「退社後6年間は職場復帰が可能」

これらはサイボウズ社が整備している制度の一例となります。

働きやすい制度を整えることで社員のパフォーマンスが上がり、定着率が上昇します。

働きやすい制度を整えることでパフォーマンスが上がり定着率が上昇するのはもちろんのこと、社内外に良い評判が広がっていきます。

そうすれば少ないコストで企業PRにも繋がるのです。

学び続ける必要のあるエンジニアに対してであれば、スキルアップにかかる費用を負担すると喜ばれるでしょう。

ただし、注意しなくてはいけない点もあります。

「強制・半強制参加の勉強会やイベント」は全くの逆効果であるということです。

特に若い世代からの反発は測り知れず、SNSなどで悪評を得ることにも繋がります。

4つ目のポイントは「社員ファーストの土壌をつくること」です。

どんな場合でもエンジニアをはじめとした社員の話をしっかりと聞き、「この会社は自分を大事にしてくれる」という感情を持ってもらうことが大切です。

例えば社員を出向させた際に、クライアントからクレームが入った場合を考えてみましょう。

ここでクライアントの肩を持ち、社員に是正するよう求めてはいけません。

社員にまず話を聞くことから始め、要求はあくまで提案ベースで行うことが必要です。

対応を誤ると社員は「ああ、この会社は自分を大切にしてくれないんだな」と早々に見切りをつけてしまいます。

相談せずに急に離職される、という事態にもなりかねません。

また、エンジニアに多いのが、「マネジメントに興味はないが会社の指示でやらざるを得ない」という悩みです。

やはりマネジメントよりも技術に携わっていたいと考えるエンジニアは多いものです。

会社の事情を押し付けるだけでは、双方にとってマイナスの結果になることが予想されます。

マネジメントをしてもらう場合、待遇などのメリットを提示することでエンジニアも納得した上で依頼することが大切です。

これら4つのポイントを守りながら、環境づくりに取り組めば、ポテンシャルとアップデート力に優れたエンジニアはグングン成長し、会社に大きな利益をもたらしてくれる存在となります。

会社とエンジニアがWIN-WINの関係になれるような環境づくりを目指していきましょう。

終わりに

いかがでしたか?

本日は良いエンジニアとは何か、そして彼らをうまく採用・育成していくためにはどういったことが重要なことかについてお話しました。

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この記事を書いた人

池田 有

フリーWebライターです。 経営学部を卒業し、三菱マテリアル株式会社の人事・IT企業のブリッジエンジニアを経験しました。 SEO・オウンドメディア・プレスリリース・その他あらゆるジャンル執筆可能です。 お仕事依頼・ご相談承っております。 ポートフォリオ:https://note.com/ikeda_yu/n/nf77ad75dd5c4 メール:yu.ikeda.writer@gmail.com