【男女間の賃金格差を縮小】女性の働き方が実現できる体制づくり

女性の社会進出が増えてきている現代ですが、日本は男女間の賃金格差が先進諸外国と比べて大きいことを知っていますか。2021年のOECDのデータによると、男女間賃金格差は世界平均が12%であるのに対して、日本は25%と約2倍の差があります。

※男性所得の中央値に対する男性と女性の所得中央値の差(対象はフルタイム労働者および自営業者)
引用元: 「男女間賃金格差 (Gender wage gap)」(OECDデータ, 主要統計」)https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm 

また日本の性別と年齢階級別賃金のデータを見ると、30歳を過ぎたあたりから男女間賃金格差が大きくなっていることがわかります。この差は育成方法や人材配置に偏りが生じている可能性が示唆されています。

引用元:厚生労働省令和3年賃金構造基本統計調査結果(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/02.pdf

こうした男女間賃金格差の現状を踏まえて、日本政府は令和4年7月8日の女性活躍推進法に関する制度改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象に「男女の賃金の差異」の公表を義務付けました。

政府が男女間賃金格差の開示を打ち出したことで、企業の内情が明らかになることが期待されています。

今回は男女間賃金差について詳しく見ていきましょう。

男女で賃金格差が生まれている原因

男女間賃金格差が生まれている原因に、まず正規、非正規という働き方の違いが挙げられます。非正規で働いている女性は男性よりも2倍多いというデータがあります。

そして正規と非正規で格差が大きいのが「賃金」です。これは非正規が任される仕事は付加価値が低かったり、要求される労働の質も高くなかったりするためです。

非正規社員の女性には自ら進んで非正規社員として働いている場合と、本人の意思とは異なり不本意に非正規社員である場合があります。

非正規を選んでいる理由には「自分の都合の良い時間に働ける」「家事・育児・介護と両立したい」「正規の職員・従業員の仕事がない」などがあります。

女性は男性よりも働き方が変化する可能性が非常に高いので、自分にとって正規と非正規、どちらの働き方がよいのか今から考えておくのがよいでしょう。

どういう働き方をしたいという意思表示をする

正規の職員・従業員の女性は、出産や育児の期間に退職するのか休職するのか、働き方の選択を迫られます。このとき経済面や子育てと仕事の両立など、各家庭の事情が大きく影響します。

休職を選ぶ場合、復帰後にはどんな働き方をしたいかを考えておくとよいでしょう。

復帰後に家族や子供との時間を優先させたい女性は、定時でこなせる仕事内容を選ぶことが想像できます。それに対してバリバリ働きたいという女性は、責任のある仕事をやりたいと望むでしょう。男性と同じようにキャリアアップしたいのであれば、休職する前に意思表示しておくことが大事です。

また企業は社員の能力を最大限に発揮できる環境を整えるために、それぞれの人材に合った業務配置をすることがとても重要です。一人ひとりとコミュニケーションを取り、認識を合わせましょう。そして、性別関係なく成果や生産性を考慮した人事評価の実施を願います。

結び

日本の男女間の賃金格差は他国と比べて大きいという現状を変えるために、政府や企業は動き出しています。男女間の賃金格差は女性が出産や育児の期間に入る30代以降に広がっています。

企業は仕事と育児の両立ができるように手厚い福利厚生の制度を整えています。しかし働く女性の中には各家庭の事情により、制度を利用せずに退職する人もいます。それに対して、制度を利用する人の中には復帰後は責任のある仕事をやって稼ぎたいという女性も当然いるでしょう。

現代の女性の働き方は本当に様々です。だからこそ、どのように働きたいかという自分の考えを持ち、しっかりと意思表示しましょう。

そして企業は女性たちの声に耳を傾け、どうしたら企業側と女性社員側の両方にメリットが出るのかを模索し、仕事と育児を両立する女性が増えることを期待します。女性の意思が尊重されれば、男女間の賃金格差も小さくなっていくのではないでしょうか。


<参考サイト>

OECDデータ
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm

労働力調査 (詳細集計) 2022年(令和4年)7~9月期平均:https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf

厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 雇用別形態:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/06.pdf

厚生労働省令和3年賃金構造基本統計調査結果:
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/02.pdf

女性はなぜ非正規雇用労働を選択するのか 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 No.19, 035-042 (2018):https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/journal/pdf19/19-035-042-Yoshizaki.pdf

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この記事を書いた人

松田加奈子

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